マリアへのお告げ「喜びの知らせ」
1２月が近づいてくると、各地でクリスマスがやってきますよ、という知らせがもたらされています。それはうれしい喜びの知らせとなっています。なぜなら、クリスマスは神の子が私たちの世界に誕生したことを知らせる時だからです。その知らせを最初に伝えられたのはマリアでした。神さまがみ使いを通して、マリアに伝えた「喜びの知らせ」を、マリアはどのように応答したのでしょうか。マリアは神さまの言葉を信じ、神さまの導きに委ねています。
天使ガプリエルは、子が生まれることを告げるために、マリアのところに来ました。神は、ご自分の恵みによって、マリアという女性をメシヤをもたらす器としてお選びになったのです。マリアは、自分はまだヨセフと結婚していないから、その自分がみごもって子を産むことなどあり得ないと思いました。そこで御使いはマリアに聖霊が降り、いと高き方すなわち神様の力があなたを包むこと。 そして「神にできないこと何一つない。」（ルカ１章３７節）と伝えています。37節の原文を直訳すると「なぜなら、神においては、すべての言葉は不可能でないからです。」となります。神の言葉はすべて実現する、実現できない言葉はない、と言っているのです。神様は語られたみ言葉を必ず実現してくださいます。そして、救いのご計画を成し遂げて下さいます。 それがクリスマスの意味であるので、私たちにとって喜びの知らせとなるものです。
マリアが産むその子がイエスと名付けられ、救い主としての使命を果たし、ダビデの王座を受け継ぎ、主の救いの恵みにあずかる民を永遠に治める者となる。このように恵みのみ言葉を神様はお語りになりました。最初の「おめでとう」(ルカ１章２８節)、直訳すれば「喜びなさい」という言葉も神様が御使いを通して彼女の告げて下さったみ言葉です。これらの言葉は必ずこの身に実現する、神様が告げて下さった喜びが自分に与えられる、マリヤはそのことを信じて、神様の御手に自分を委ねました。その言葉どおりの出来事がこの世界にあらわされました。それが、クリスマスなのです。
マリヤへのお告げから、イエスさまの救いの働きが開始されました。そして神さまの救いのご計画は、人間の思いや常識をはるかに越えた形で、今なお進められています。
生きるとは
高校の同級生から、本が送られてくる。名古屋高校での数少ない友だちで、卒業後何十年か経って、多分、インタ―ネットの普及のお陰て、友だちとして復活している。そして、度々、本を贈ってくる。そして、私に感想を書いてほしいとも言う。だから、読まざるを得ない。最近、彼が送ってくる本は、年齢のせいか、生と死に関わるものが多い。それは著名な神学者のものから、彼の友人が書いた小説にも及ぶ。そのなかから、小説を二つ紹介したい。
その一つは、卒業した高校の先輩が書いたもので、とても分厚い書物でした。内容は作者の高校卒業後から、大学に進学するまでの体験となっている。主人公の彼は、医者の息子で、残念ながら、現役入学ならず浪人生活を送る、しかも、地元でなく、親元を離れ、京都で、下宿屋に部屋を借りての生活。そこに、かねてからの親友もやってくる。その親友も医者の、かなり大病院の息子で、出来が良く、アメリカにも留学していたという、予備校でもこの親友が成績トップ、その次がこの主人公という仲だった。それでいて親友は好奇心旺盛で、主人公と色々な冒険を愉しんでいる。しかし、その冒険好きが災いして、親友は不慮の事故でなくなってしまう。優秀な学生で恐らく有能な医者となって親の病院の跡取りとなると思われ、誰からも慕われていたその彼が死んでしまう。そのショックで主人公も病んでしまい、放浪生活を送ることに。そして、とおとお、ホ―ムレス状態になる。そこに全く見ず知らずの女性が現われ、心身ともに癒やされ、予備校に戻って勉強し、大学医学部に合格する、という物語、これは同年代の作者のものであるので、あらわされている情景を、自分の体験と重ね合わせることができる作品であった。
二つ目は「ELプラン（エンドオブプラン）」というものから、自分の命が数カ月後にＸデーつまり死ぬ日を迎えることになった人がその恐怖におののいて生きている。その彼の生き方に関わる人との触れ合いが描かれていく。一人はELプランの推進者で、ブランの達成率に関心を持つのだが、彼自身が末期のガンになり、在宅で死を待つ身に。その彼のかっての部下で、今は愛人の女性が彼の死を看取ることになる。同時に、Ｘデーにおののく人に彼氏の代わりに近づき様子を見ることに。Ｘデーを迎える人は、同窓会に出席して、学校時代に恋心を持っていた女性と再会し、付き合うことに。その同級生の彼女は難病に患い、死期が迫っていたが、そのことを言わない、感じさせないで、彼と付き合うことに、そして、良い思い出を持って死んでいく。彼女と出会って死の恐怖から逃れることができて喜んでいた彼はショックで自分も死のうとさまよう。それを知ったELプランの推進者とその彼女は、彼に死なないで生きるように励ます。そう励ましていた推進者は末期がんのため死ぬ。その彼女は失意のなかにおちいるが、推進者の長男か、そんな彼女の生き方を見て知って、彼女に好意を持って、とおとお結婚することに。ELプランで死を待つ身に恐れていた彼は、同窓生の女性や、プランの推進者の彼女の励ましを受けて、生きることを決意して、元気になって働けるようになったという、実話に近い物語。（友達によると、この作者は友達と同年の薬剤師で、彼の身近に起った肉親の「死」に会い、「死」を深く思索して、「生」と「死」を真剣に考えてこの小説に著したと言う。）
どちらの小説からも死の問題を抱えつつ生きること、生きることの中に人の生に関心を持っている人々の深い愛情が関わっていることを知る。そして、人は愛を感じるときに、愛されていることを実感することによって、死の恐れを超えて生きる勇気が与えられることを浮彫にしている。